
応援メッセージ > 荒川 薫 【童話作家】
赤ちゃんを抱いて、ゆっくりゆらしながらわらべうたを口ずさむと、赤ちゃんはかならずにっこりと嬉しそうな表情をします。その顔を見ると、歌っている大人も嬉しくなってとても幸せになります。赤ちゃんも大人も喜びに満たされるのですから、わらべうたって不思議な力を持っているなぁと、いつも思っていました。
2000年が「子ども読書年」に制定され、それを機に始められたブックスタートの会場で私が目にしたのは、まさにわらべうたのときと同じような幸せに満ちた光景でした。
地域の思いをまとめながら、図書館、保健所、地域ボランティアの方々の協力で用意された会場では、お母さんの膝の上に抱かれている赤ちゃんや、自分でおすわりが出来るようになった赤ちゃんの目の前に、絵本が開かれます。ボランティアの方が語りかけるように絵本を読み始めると、ほとんどの赤ちゃんがぱぁっと目を輝かせて、にこにこっと笑顔になるのです。その笑顔がお母さんの笑顔を誘い、読み手も確かな喜びを得て笑顔となり、そしてまた赤ちゃんに戻るという連鎖反応。やはり不思議な力です。
このとき私は不思議な力の正体がわかった気がしました。赤ちゃんをいとおしく思っている人のあたたかな声が、笑顔の連鎖反応をおこすのでしょう。わらべうたも絵本の読みきかせも、声を通して赤ちゃんに伝わるのですから。
ブックスタートは、絵本をはさんで赤ちゃんと大人たちが、ことばを交わしながら幸せな時間を過ごせることを気づかせてくれました。この体験をさらに多くのお父さんやお母さん、そして赤ちゃんにしてほしいのです。そして日々の暮らしの中に絵本を楽しみ、豊かな言葉が交わされる家庭が増えますようにと願っています。