
応援メッセージ > 大日向 雅美 【恵泉女学園大学大学院 教授】
NPOブックスタートの事務所は、東京のJR飯田橋駅から徒歩10数分のところにあります。高速道路が走る喧騒な大通りから一歩中に入った静かな環境の中に佇むビルの3階に位置していますが、私は今でも事務所を訪れた時の感動が忘れられません。壁一杯に貼られた赤ちゃんの写真がいっせいに笑顔で迎えてくれたのです。世界中のどんな名優にも一歩もひけをとらない笑顔を引き出しているものが、赤ちゃんの前に置かれた1冊の絵本であることを知って、このブックスタート事業がいかに大切なメッセージを親たちに送っているかということに、改めて思いをはせることができました。
とかく最近の若い親は子供のあやし方一つ知らないと、非難する声がよく聞かれます。確かに赤ちゃんの扱い方をよく知らないこともあって、子育てをつらく思い、育児ストレスに陥った挙句、わが子にひどい言動を繰り返す親も少なくありません。しかし、若い親の声に耳を傾けてみると、愛し方がわからないだけあって、心の奥底では懸命に愛したいと願っているのです。
「今どきの」という枕詞と共に若い世代を批判する傾向は有史以来繰り返されてきたことではありますが、単に若い世代を批判しても何の解決にもなりません。むしろ、「はじめから立派な親はいない」ことを親も周囲も認め合いながら、親が親として育つことができるような支援が必要です。
子育てに悩み、戸惑っている若い親たちに向けて、私は「大丈夫。肩の力を抜いて、赤ちゃんと向き合って」というメッセージを伝えたいと思います。そして、その言葉と共に1冊の絵本を手渡したら、「あとは赤ちゃんに任せておけば大丈夫!」と信じています。私がブックスタートの事務所で出会ったとびきりの笑顔で、きっと赤ちゃんたちは親を勇気づけてくれるに違いありません。