
応援メッセージ > 黒井 健 【絵本作家】
早いものですね。あれからもう5年になるのですね。あれからというのは、私が『ブックスタート運動』を知った1999年のことです。当時は2000年に『子ども読書年』をむかえるために児童出版関係団体が集い、「子ども読書年」推進会議がひらかれていました。その席に参加していた時に、いくつかの議題の中に『ブックスタート運動』について話していた女性がいました。各団体の重責を担う方ばかりの席上でしたから、ついこの前まで女子学生ではなかったかと見紛うほど、私と同様にその席には似合わない印象でした。それが理事の佐藤いづみさんです。「1992年にイギリスのバーミンガムで・・・」と、会議のたびにその話をぼんやりと聞いていたのです。何回目の会議であったのか覚えていませんが、ある日突然にその話の素晴らしさが、雷に打たれたように私に伝わって来ました。私は、「こんな画期的な運動があったのか!」と、ひどく驚いて、会議が終わった後にそんな印象を佐藤さんに話しました。佐藤さんは「今頃わかったんですか?」と、あきれ顔でニコニコと言いました。私はすっかり興奮していたのですが、現事務局長である白井哲さんもニコニコしていました。
‘こんな画期的な運動’と、雷に打たれたのは、もともとの私自身の絵本への思いがありました。今は絵本を描く立場なのですが、絵本の編集者であったことも含めて30余年の間に感じていたことなのですが、絵本は親と子を繋ぐ仲介物であって欲しいと願っていました。テレビなどと違って、絵本は子どもたちを膝において、お母さんやお父さんが読まなければならない手のかかるものです。その手のかかる時間が子どもたちにとって、もっとも大切な時間なのだ、と・・・。過剰に発達した現代社会は、手間を省く利便性のみが商品価値を持つことになってしまいました。私も利便性は嫌いではないのですが、人と人、特に親と子の関係においては違うと思っています。このことを、何かの形で親御さんたちに伝えたいと切望していました。
「私ができることがありましたら、何でも言い付けて下さい」と、お二人に話しました。それから5年、『NPOブックスタート』としての組織づくり、全国での啓蒙活動とそのサポートなど、確かな歩みを目の当たりにしています。その広がりも700を超える市町村におよびました。私はうれしくてニコニコしています。そして今でも「私ができることがありましたら、何でも言い付けて下さい」と、言っています。
ブックスタートのラッコのロゴマークは、黒井さんにデザインしていただいたものです。